「ホテル・ルワンダ」

体調不良で延び延びになり、今日やっと観にいくことができた。
1月14日公開以来かなり混雑しているといううわさは聞いていたが、4週目をむかえても、初回立ち見が出ていた。

シアターN(旧ユーロスペース)の館内は古くてせまい。
早めに席について待つうちに、いつもとだいぶ雰囲気が違うなと思う。
ミニシアター系でもこの手の映画、たいがいは昔ならしたじっちゃんばっちゃんばかりで若い人などめったに見ない。
それがぐーっと平均年齢が下がって、カップルの姿まで見られる。そしてみんな、マナーがいい。
若やいだ雰囲気は、このままディズニーランドに置き換えてもふしぎではない顔ぶれなのだ。
ネットの力をまざまざと感じる。

1994年、ルワンダ。
永年の確執、くすぶり続けた火種はいっきょに大虐殺へとむかう。
映画はしかし、憎悪対憎悪の経過については語らない。
ただ静かに狂気に捉えられた人間の姿を描く。
だから、それはフツ族と限定された誰かではない。
他の国の、他の時代の、あなたであり私自身である。

力は、一切を叩きつぶす。
しかしまたそれは護りの手でもある。

では、武力以外のものはどうか。
圧倒する武器のまえで、対抗する余地のありうることを映画は暗示する。

滞在することが、なおいくばくかの緩衝となりえた人々が去っていく。
丸腰となって それを見送る人々の姿が痛い。

この状況から脱出できる人。
とり残される人。
民族とか国籍とかが ひとをわけへだてするものであっていいのか。
IDカードやパスポートで「証明」するほどの差異であるのに。

表現はいわば正攻法で、真っ向から描いて小気味よい。
淡々と、でもなければシニカルでもない。
こういってはなんだが、怒涛のようにストーリーが展開し、酸鼻な現実をこれでもかというリアリズムで取り上げてはいない。
それでいて、見終わったあと、ストレートなメッセージが残っているのは賞賛に値するだろう。
監督テリー・ジョージ、制作はA・キットマンホー、ハリウッドの底力を見せ付けられた気がする。

昨夏、日本では公開すら危ぶまれていた。
東京以外ではなかなか上映が難しいこのような映画が、現在全国31ケ所で公開の予定。
まだまだ・・・捨てたものではないらしい。



公式サイト上映館一覧
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この記事へのコメント

かえる
2006年02月07日 14:11
こんにちは。
見ごたえのある力作でしたね。
脱出できる人ととり残される人がいたということは映画を観て初めて知りました。
とてもショックだった場面の一つです。
Suzuka
2006年03月29日 09:39
コメント、ありがとうございます。
気のきいたこと、書こうと思ってすっかり遅くなってしまいました。ごめんなさい。
かえるさんのご覧になる映画、私の見たいものとかなり重なっているのですが、出不精もあり、ぐずぐずしていて、見逃すこと多々です。
ことしは、もうすこし、身軽に行動しようと反省しています。
charlotte
2006年03月29日 18:59
TBありがとうございました!
どうも相性が悪いのか私のやり方が悪いのか、TBが張れません…
コメントのみで失礼しますね。
淡々と目の前の状況を把握し自己ベストを尽くす姿には熱くさせるものがありました。
自分だけは、家族だけは…という思いから、ホテル全てのことを考えていくように変わっていくあたり。
何も知らないでいた自分が恥ずかしくもなり、またこの作品を見る事ができて感謝の気持ちでいっぱいでもあります。
一応こちらのリンクをここで張っておきますね
http://blog.goo.ne.jp/charlotte26/e/c9d7d782e43f924d7c2fecbfc6bb20ef
風待人
2006年07月03日 11:26
「ホテル・ルワンダ」を見て
いろいろ想うこと考えることがありました。

そして、これからの地球に生きる子どもたちの意識に
何かを期待しつつ私にできることをしながら、
何かを伝えていきたいと、感じました。
ご紹介くださってありがとうございました。
Suzuka
2006年07月03日 18:15
コメントありがとうございます。
自らを正視しないスタンスからは
人を動かす力のあることばは生まれないと
思っているのですが。

ラジオから流れた悪意は人々を暴徒化した。
偽りのことばもまた人を動かすのですね。
つらいことです。
遠い国のできごとではありません。



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